「フルマラソンはゆっくり走ることで脚づくりをしよう」「ゆっくり走ると持久力がつく」私はこんなフレーズを聞くとうんざりしてしまいます。。こんなことをいわれると「脚づくりってなんだよ。。。」「持久力がつくって。。そりゃ走っているんだから持久力はつくでしょうよ」って思ってしまうのは私だけでしょうか?
これらの言葉は、非常に曖昧な表現で、なぜレースペースと乖離したペースでの走りが、フルマラソンに対して効果的なのか?という疑問に何ひとつ答えられていないと私は思います。
本記事では、フルマラソンのレースペースよりゆっくり走る練習が効果的なのか?効果があるならなぜ効果があるのかについて徹底的に解説していきたいと思います。以前の記事「後半の失速なんてもうしない!30kmの壁を克服するためのフルマラソントレーニング理論」でも、フルマラソンの攻略のヒントが記載されておりますのでよかったら読んでみてください。
フルマラソンの練習ではゆっくり走ることは効果的なのか?
効果的です。いきなりの出落ちですいません。なぜゆっくり走ることが効果的なのか、マラソンでの失速原因から考えていきたいと思います。
フルマラソン失速の原因から考える能力
フルマラソンの失速原因は、体内の糖質の枯渇です。一般的に体内の糖質というのは2000kcalほどといわれております。一方フルマラソンで消費するエネルギーは3000kcal程度です。そのため体内の糖質だけでは、フルマラソンを走りきることが出来ないのです。
ランニングをしている時には、脂肪と糖質の両方を消費しながらエネルギーを生成しておりますが、この比率というのは、運動強度に依存し、走る速度が低いほど脂肪消費が優位になります。しかしタイム向上を目指す方の最大の悩みがここで生まれてきます。それはレースペースというそこそこ速いペースで走ったときに脂肪の消費が促進されるようにするにはどうしたらいいのか?どのような練習をすればよいのか?ということです。
図1をみてください。図1は立命館大学のスポーツ科学のページに掲載された運動中の脂質と糖質の利用割合に関するグラフを説明用に改変したものです。縦軸が割合、横軸が運動強度(VO2max(最大酸素摂取量)における割合)を指しております。グラフの黒い線は、トレーニングをあまりしない人の糖質の利用割合を指しており、グラフの黄色い線は、トレーニングをよくする人の糖質の利用割合を指しております。1から糖質の利用割合を引けば、脂質の利用割合が分かりますので、結果として図1では、脂質と糖質の利用割合の両方がわかることになります。グラフの上側が脂質の利用割合を、下側が糖質の利用割合という見方になるでしょう。仮にマラソンの目標ペースがVO2maxの81%程度の酸素需要だとすると、トレーニング効果によっていかに赤線の幅を大きくできるか(脂質からエネルギーを生成しやすい体にできるか)?がトレーニングの狙いとなります。
運動強度が上昇するにつれて糖質の利用割合が増えていくことが分かる。
ネスレ科学振興会より引用。説明用に改変
脂肪燃焼を促進する3つのアプローチ
脂質からエネルギーを生成しやすい体にするには、脂質を消費してはしっている時間を確保することです。3つのアプローチについてここでは、解説していきたいと思います。
- 【フルマラソン攻略1】走る時間帯の工夫
- 【フルマラソン攻略2】走る内容と順番の工夫
- 【フルマラソン攻略3】サプリメント(摂取物)の工夫
【フルマラソン攻略1】走る時間帯の工夫
最初の工夫は走る時間帯による工夫です。走る時間帯は、朝食前の空腹時がおすすめです。朝食前というのは、一日のうち、食事を最後にしてから経過している時間が最も長いため、脂質によるエネルギー生成の割合が高いです。体は糖質がない状態で、運動をすると脂質消費が優位になる傾向があります。
工夫例
本質は朝練習をすることではありません。糖質が少ない状態で運動をすることです。そのため、朝が苦手な人なら、朝食を抜いて、昼まで何も口にせず、お昼にランニングをするということでも同じ効果が得られると思います。むしろ枯渇具合でいえば朝早起きするよりも糖質が枯渇しているため、こちらの方が効率的かもしれません。
【フルマラソン攻略2】走る内容と順番の工夫
次の工夫は走る内容と順番です。走る時間帯の工夫のところで、すこし触れさせていただきましたが、糖質が少ない状態で運動をすると、脂質消費が優位になる傾向があります。そのため練習時間の序盤に強度の高い運動をして、後半に低強度のランニングを行った方が、脂質からのエネルギー生成が促進され、脂質を燃焼しやすい体になっていきます。
先日出場した大会でゼッケンと一緒に配布されたランナーズのパンフレットの記載の中に、ガチユル走というものが特集されておりました。約16kmを走る際に3つのペース(①16km一定ペースでジョグ、②1.5km全力走をしてから13.5kmジョグ③200mx5本行ってから14kmジョグ)で実施した場合のエネルギーの利用割合について実施したものです。図2にてランナーズのパンフレットに記載されておりました図をのせました。結果は1.5kmを全力走をおこなったグループと200mダッシュを5本行ったグループの脂肪利用割合が高くなるというものでした。
これらの練習のどちらのパターンも試してみましたが、私としては200×5本の方が断然おすすめです。低強度練習の前とはいえ、1.5km全力を出して走るのはなかなかに精神的なハードルが高いです。一方200X5本は、つらい時間が短く継続しやすいという最大のメリットがあり、かつグラフを見ると効果としては1500m全力パターンに比べて劇的に落ちるというものでもありません。
このように強度の高い練習をはじめてから低強度のランニングをすることで、脂質からエネルギーを生成しやすくなります。脂肪を消費して走る時間を確保することによって、脂肪を燃焼しやすい体質へと変化させることが出来、マラソンに有利な体質に改善されていきます。
練習例
- 200mx5本 + 14kmジョグ
- 300mx4本 + 60分~90分ジョグ
個人的に気に入ってるのは、200m x 5本や300X4本を行った後に、自分が余裕があるペースでJogを60分~90分程度おこなうことです。200×5本や300X4本では、呼吸がきついくらいに出力させることを意識させましょう。
【フルマラソン攻略3】サプリメント(摂取物)の工夫
最後にサプリメントによる工夫です。こちらのサプリメントはヒドロキシクエン酸(HCA)という成分が入っております。エネルギーの生成のパターンには、糖質から生成するパターンと脂質から生成するパターンの2種類がありますが、ヒドロキシクエン酸(HCA)という成分は、糖質をエネルギーに変えるときに必要な物質(ATPクエン酸リアーゼ)の働きを阻害するため、エネルギー生成は脂質からまかなわれやすくなります。
ヒドロキシクエン酸(HCA)が含まれたサプリメント
ヒドロキシクエン酸が含まれたサプリを探してみたところいくつか該当しそうなサプリがありました。マラソン失速対策としての体質改善を見込む手段としては、非常に手軽で取り組みやすいのがいいですね。マラソンのタイムを本気で縮めたいとおもったら、サプリを利用することも効果的だと思います。
今回の記事は以上になります。最後までお読みいただきありがとうございました。
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