後半の失速なんてもうしない!30kmの壁を克服するためのフルマラソントレーニング理論

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こんにちは!雲海です。いいペースで刻んでいたのに30km,35km以降で大失速して、なかなか目標タイムに届かない,そんな経験はないでしょうか?この記事を読めば30km以降に大失速を防げるようになる練習方法が分かりサブスリーのレベルであれば安定してタイムが出せるようになります。

そもそも30kmの壁とは?

30kmの壁とは一度はみなさんも聞いたことがあるのではないでしょうか?30kmの壁とはフルマラソンを走っていた時に30km過ぎたあたりから急に体が重くなり、ペースを維持して走ることができなくなる現象です。一体なぜこのような現象が起き、体としてはどのような状態なのか、詳細について解説していこうと思います。

30kmの壁の発生原因

中級者くらいのレベルになると30kmの壁とはグリコーゲンの枯渇によって発生することはよくご存じだと思います。しかし体が重くなるのはどんな状態になっているかといわれると答えられない人も多いのではないでしょうか?体の状態が重くなるのは、ATP(アデノサンリン酸)が合成できず、筋肉の収縮がうまくできなくなるためです。そのためATPがどのように供給され、どうなると供給できなくなるのか?について理解する必要があり、最終的にはどうすれば供給を持続させることができるのか?その施策・対策がマラソンのタイム向上に直結することになります。

ATPの役割

ATPの役割は簡単に言うとエネルギーを生み出すことにあります。(ATP自体がエネルギーではありません。)組織の中のATPが水を使って分解するとエネルギーが生成されます。つまりエネルギーが生成されるためにはATPが必要だということになります。ATPが生成される経路には3つの経路があります。

  • ATP-CP系
  • 解糖系(乳酸系)
  • 有酸素系

このうちATP-CP系、解凍系(乳酸系)による運動持続時間は、順に8秒程度、30秒~60秒程度のためフルマラソンのケースではATPの合成が追い付かないという現象に対しては有酸素系による寄与が支配的であるといえます。

有酸素系

有酸素系のATP合成についてはかなり複雑なのですが、かいつまんで解説していきたいと思います。有酸素系のATP合成は酸化的リン酸化という過程がかかわっており、最終的に関係する化学式がADP + Pi + H → ATP + H2Oです。どういうときにこの化学式が進行するのかというと、ミトコンドリア(細胞内の器官)の内部のHが、内膜と外膜の間にあるスペース(膜間腔)から内膜に囲まれた部分(マトリックス)に流入される過程でADPが合成されます。詳細に興味がある方はこちら(酸化的リン酸化の化学浸透説の部分)を参照ください。

練習の狙い

ランナーが意識することは、ミトコンドリアの内部で起こる化学反応によってADPが生成されるという点です。フルマラソンで失速を防ぐためには、①体に蓄えられたグリコーゲンを枯渇させず②ATPを生成しながら走る状態に持っていけるようにし、③グリコーゲンではなく脂肪を燃焼させやすい体にすることになりますので、練習としての狙いは以下3点になります。

  • グリコーゲンの貯蔵量を増加させる
  • ミトコンドリアを増加させる(ATPを生成しやすい体にする)
  • グリコーゲンの消費量を抑える体質にする

グリコーゲンの貯蔵量を増加させる

グリコーゲンの貯蔵量は、トレーニングによって枯渇させてから再び蓄積させると貯蔵量が増えるといわれております。30km走をレースペース程度でやり、練習後にしっかり回復させるのがよさそうですね。しかし30km走をレースペース程度で行うのは負荷が非常に高いため、継続性の面で難があります。そのため強度を下げた状態で継続的に行えるような練習になるように工夫する必要があると思います。現実的におすすめする方法は、食事から最も時間が経過している朝に朝食をとらずにMペースからTペース付近のペースで12km程度走ることです。

ミトコンドリア量を増加させる

ミトコンドリア量を増加させる方法は、低負荷、高負荷のランニングどちらでも起こります。

こちらの記事を読ませていただいたところ、骨格筋のミトコンドリアの量の生成について以下の2グループに分けて行った実験があるようです。

  • Aグループ:20秒×3の高強度トレーニングを3回/週
  • Bグループ:45分間の持続運動を週3回

実験結果としては、骨格筋のミトコンドリアの生成量は、ほとんど同程度でした。効率性としてはAグループ軍配が上がりますが、Bグループの低負荷運動でも効果があります。後述するグリコーゲンを抑える体質にする練習方法の一つにLSDがありますが、90分以上から脂肪燃焼が優位になることを踏まえるとBグループのような低強度の運動を日常的におこない、時折高強度の練習を織り込んでいくのがベストだと思います。

グリコーゲンの消費量を抑える体質にする

グリコーゲンの消費量を抑える、つまり脂肪からエネルギーを生成しやすい体質にするにはどのような練習をすればよいかということになります。脂肪からエネルギーを生成しやすい体質にするには、LSDが練習手法として考えられます。LSDはゆっくりなペース(低強度)で長時間走る練習ですが、運動中に脂肪を燃焼するだけでなく、脂肪を燃焼しやすい体に改善する効果があります。LSDを行うときには90分以上(できれば120分以上)行うことで脂肪燃焼が優位になるという結果があります。

レース当日に意識すべきこと

30kmの壁と呼ばれるフルマラソンの失速の原因についてここまで読んでいただいた方には、レース当日に意識すべきことが見えてきていると思います。レース当日に考えるべき大事なことは、2つです。

  • グリコーゲンで満たされた状態でスタートできるか?
  • レース中にグリコーゲンを温存できるか?

グリコーゲンで満たされた状態でのスタート

グリコーゲンで満たされた状態でスタートするには前日と当日に炭水化物や糖質を摂取することです。多くの方はレース前にゼリー等を飲むと思いますのでそこまで気にしなくて良いと思います。ゼリーもたくさん種類があって迷いますね。私はアミノバイタルを飲むことが多いですが、ランニング関係の仲間ではモルテンの人気が高いです。おすすめされて自分でも試しました(^^♪。結構あまいですが、後半すごい粘れた気がします。なんかもうすごいの一言でした。よかったら試して下さい。効果マジで出る人は出ると思います!!好みがわかれるところだと思いますので、両方のリンクを張っておきます。



レース中にグリコーゲンを温存できるか?

レース中にグリコーゲンを温存するためにはペース配分が本当に重要です。

ペース配分は大きく3パターン(前半上げる、終始イーブン、後半上げる)だと思います。

最もおすすめするのは後半上げるです。今まで私は前半上げるタイプだったのですが、後半上げるタイプに切り替えたところタイムがかなり安定して出せるようになりました。これは直近3回の感想ですが、フルマラソンはいっぱいいっぱいな状態でゴールするよりも少し余裕がある状態でのゴールのほうが結果的にタイムが早いです。貯金があまりない状態で30km以降迎えるのは不安しかない気持ち、すごくわかります。ただ理論的には、いかにグリコーゲンを温存して、脂肪で走る時間を増やすかがカギになりますので、後半上げるのが最も理に適っている走り方なのです。練習では30km以降にあげることを念頭に置いて、ビルドアップの練習を行うことをお勧めします。別記事で紹介しておりますのでそちらをご参照ください。

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