【超絶効率】最強のインターバルHIITの効果解説

HIITを行う女性インターバル

陸上長距離走に取り組んでいるとどうしてもタイムが頭打ちになってしまうことありますよね。そういう時に、普段まったく行わないようなトレーニングを取り入れるとタイムが急に上がったりするかもしれません。

 本記事では、HIITと呼ばれる、超効率的でタイム向上が狙える練習を紹介していきたいと思います。実際に私は、こちらのトレーニングを週3回取り入れて、20kmのタイム(箱根駅伝予選会)を3分以上短縮できた経験があります。是非皆さんもトレーニングに取り入れてみてください。

HIITとは?

HIITとはHigh Intensity Interval Trainingの略です。日本語では高強度インターバルとなります。「なんだインターバルか。インターバルなんてとっくにやっているよ」という人も多いと思いますが、おそらくイメージしているインターバルとは異なるのではないかと思います。一般的なインターバルといえば、1000m*5や400*12のように、疾走時間が1分~4分かかるインターバルだと思いますが、そうではありません。もっと短く、もっと高強度で行います。一般的なインターバルトレーニングの練習方法や効果については「最大酸素摂取量(VO2max)を効果的に鍛える”インターバル”」で解説しておりますので、振り返りたい方や興味がある方は、そちらも合わせてご覧ください。

HIITトレーニングメニュー

タバタプロトコル

立命館大学の田畑教授が、公表しているトレーニングのため、タバタという名前がついております。タバタプロトコルの原型は、日本スケート連盟のヘッドコーチ入澤考一先生という方が、考案されました。20秒間の全力運動(VO2max 170%)+10秒間の完全なレストを8セット繰り返すトレーニングになります。立命館大学の学園通信を拝見させていただきましたところ、トレーニング自体はランニングに限らず、ダッシュ、バイクなんでもOKのようです。ランニングで行うなら150m程度の全力ダッシュ*8セットを10秒レストで行えばよいですね。

Gibalaプロトコル

こちらはGibalaさんという方が、考案されたHIIT(SIT:Sprint Interval Trainingとも呼ばれております。)で、30秒間の全力運動を、4分~5分の休憩を挟み4~6回繰り返します。タバタプロトコルとの大きな違いは、レストの時間の長さにあります。タバタは10秒休んで次のセットに入りますが、Gibalaプロトコルでは4~5分の休憩を取ります。

HIITの効果

HIITにはどんな効果があるか見ていきましょう。HIITの効果は主に2つです。

  • 有酸素、無酸素のエネルギー供給能力の改善
  • 運動後もカロリー消費が行われる。

有酸素能力、無酸素能力両方の改善

まず1点目の効果ですが、有酸素、無酸素のエネルギー供給能力の両方が向上します。負荷が高いのに有酸素のエネルギー供給能力が上昇することに疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?一般的に無酸素運動では、無酸素運動のエネルギー供給が、有酸素運動では、有酸素運動のエネルギー供給が、改善していくのだから、短時間の全力運動(=無酸素運動)で、有酸素運動のエネルギー供給能力が改善していくのは不思議ですね。これはなぜ起こるかというと、短い休憩によって、後半のセット数で酸素摂取量が増大していき、最大酸素摂取量に到達するためです。最大酸素摂取量に到達しているということは、酸素をフルに摂取して、エネルギーを供給している状態ですので、序盤のセット数では無酸素運動によるエネルギー供給を刺激しており、後半のセット数では、有酸素運動のエネルギー供給系を刺激していることになります。

図1 酸素借と酸素摂取量の関係

図1を見てください。この図はタバタプロトコルを行ったときの、セット数と、その時の酸素借と酸素摂取量の関係を表しております。酸素借というのは、運動中に必要な酸素量(図の黒い点線)と酸素摂取量(青い部分)の差を表しております。酸素摂取量(青い部分)が後半のセット数で上昇していき、最終的にはこれ以上酸素を体内に取り込むことが出来ない状態(最大酸素摂取量。図の赤い点線)に到達していることが分かります。このようにはじめは酸素借が多い状態(無酸素系のエネルギー供給を活用している状態)で、後半のセット数で体内に取りこむ酸素が(酸素摂取量が高い)多い状態になっていることが分かります。

運動後もカロリー消費が行われる

HIITの後では、運動後もカロリー消費が行われます。これはアフター・バーン効果という現象です。このアフターバーン効果という現象は、例えば、ウェイトトレーニング、ジムのエクササイズプログラムなど高強度の運動を行った後に、起こりやすいです。カロリー消費自体が運動をおこなった後にも行われるのはうれしいですね。でも基礎代謝という言葉を考えれば、運動中以外でもカロリーは消費されることを思い出しますね。

最後に

HIITでは、非常に効率的にトレーニング効果を得ることが出来ますが、回復もセットで考えてほしいと思っております。怪我をすると本当にもったいないし、練習を継続的に行うためにもすぐに回復させるようにしましょう。

今回は以上になります。最後までお読みいただきありがとうございました。

<参考資料&文献>

・Tabata et al. 1996. Effects of moderate-intensity endurance and high-intensity intermittent training on anaerobic capacity and VO2max. Med Sci Sports Exerc 28:1327-1330.

・Gibala MJ et al. 2008. Physiological adaptations to low-volume, high-intensity interval training in health and disease. J Physiol 590:1077-1084.

・立命館大学学園通信

タバタトレーニング | 特集 | RS WEB | 立命館大学
立命館大学 田畑教授が考案したタバタトレーニングでは、20秒の運動と10秒の休息を1セットとして、8セットで疲労困憊に至る間欠運動を行います。

・TABATAトレーニング
Feb-Mar Special
TABATAトレーニング:無酸素性能力と有酸素性能力を同時に短時間で高めるトレーニングの理論と方法

http://www.bookhousehd.com/pdffile/msm168.pdf

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