ハーフマラソンで80分がなかなか切れない。4’00/kmがクリアできたから次は80分切りを狙いたい。そんな方はいらっしゃらないでしょうか?本記事ではハーフマラソンのタイムを効果的に上昇させるために必要な練習と作戦について解説していこうと思います。本記事ではダニエルズフォーミュラに基づき、直近のハーフを77分14秒、10kmを34分49秒で走った筆者が、実際に行った練習経験をもとに、市民ランナー向けの練習法について解説(紹介)していきたいと思います。
ハーフマラソン80分切りのレベル
ハーフマラソン80分切りについて要求されるレベルは3’48/kmです。これはなかなかに速いペースですね。男性のハーフマラソンの平均タイムが1時間56分くらいなので、1時間20分を目指す方は、シリアスランナーといえるでしょう。とはいえ80分切り自体は、到達までにかかる時間は個人差あれど、40歳以内の男性なら必ず到達できる水準だと思います。
80分切りでもっとも大事な力は乳酸処理能力
ハーフマラソンで最も重要な力は、乳酸処理能力です。ハーフマラソンは、ダニエルズフォーミュラで紹介される6種類のペースのうち、Tペースにもっとも近いため、Tペースを引き上げるための練習、すなわち乳酸処理能力を上げる練習が、最も重要視される練習となります。ダニエルズフォーミュラで紹介される5種類のペースについて簡単に触れておきます。5つのペースは、Rペース(repetition),Iペース(Interval),Tペース(threshold),Mペース(marathon),Eペース(easy)を指しております。それぞれのペースとその目的を簡単にまとめておくと以下になります
- Rペース(repetition)→スピード、ランニングの経済性の向上
- Iペース(Interval)→最大酸素摂取量の向上
- Tペース(threshold)→乳酸処理能力の向上
- Mペース(marathon)→レースペースに慣れる(フルマラソン)
- Eペース(easy)→心筋の強化,怪我の耐性を作る、血液の酸素運搬能の改善
ここでは詳細については触れませんが、興味がある方はダニエルズフォーミュラを読むことをおすすめします。
・参考
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乳酸処理能力を向上させるためのトレーニング
乳酸処理能力を向上させる練習方法には以下の2種類あります。
- クルーズインターバル
- 閾値走
閾値走やクルーズインターバルについては以前の記事でも取り上げているので、ここではクルーズインターバルと閾値走を1週間の中にどのような練習例でどの程度、取り入れていくのかについて解説していこうと思います。閾値走やクルーズインターバルについて詳細を知りたい方は【絶対必須】タイムを伸ばすために絶対に行うべき閾値走をお読みいただけると幸いです。
クルーズインターバル
最終的に目指す設定は,3分45/kmでの閾値走ですね。84分の人がこの水準を目指すことを例に、考えていきたいと思います。この方のクルーズインターバルの疾走区間の適正ペースは3分56/kmで、疾走時間が5~6分につき1分のレストを入れるとよいと思います。週1~2回程度組み入れてください。練習例としては以下のようなものがあります。
- 1800m *5(r = 200jog)
- 3000m *3 (r = 400jog)
1800mって中途半端だなーと思ったかもしれませんね。ダニエルズフォーミュラでは、疾走距離が1600mの倍数で組まれることがおおいのですが、5~6分につき1分のレストを取り入れるルールを守るかつ、間をジョグにして行うなら1800mを走って200jogすればトラックのスタート位置を変えなくていいのでわかりやすいですよ。ダニエルズフォーミュラの練習例をみていると、間のつなぎは、1分休息するという形でもよさそうですが、間をjogでつなげれば運動時間が増すため、有酸素系で疾走している時間を稼ぐことが出来ます。有酸素系で走っている時間が長くなることで、脂質代謝している時間が増えますので、脂質代謝優位な体作りに効果があります。マラソンも視野に入れている人ならjogにすることをおすすめします。3000m * 3では、距離が長いからと言ってペースを変えてはいけません。3分56/kmのペースでおこなってください。間は400jogがいいかなと思います。1800mの練習に比べると少しきついかなという印象ですので、集中して取り組んでください。きついようならTペースで走る疾走時間を短くして本数を稼ぐという方法が取り組みやすいですよ。(ただし5~6分に1分程度の休息にしてください)
クルーズインターバルでは、疾走している時間の合計は30分以上とれるようにしましょう。また1か月から1.5か月に1度くらいの頻度で、速度を見直して1kmあたり2~3秒程度ペースを修正していき、最終的なペースラインである3’45/kmを目指していきましょう。
閾値走
次に閾値走です。最終的に目指す設定は,3分45/kmでの閾値走ですので、84分の人がこの水準を目指す閾値走を行う場合には、3分56/kmが設定ペースになります。3分56秒で6キロ程度走るのが良いと思います。閾値走では、疾走時間が20分以上とれるようにしましょう。もし余裕があるなら2セットやってもといいと思います。疲労度に応じて臨機応変に対応してみてください。こちらもクルーズインターバル同様、1か月から1.5か月に1度くらいの頻度で、速度を見直して1kmあたり2~3秒程度ペースを修正していき、目標ペースを目指していきましょう。
その他ハーフの記録が伸びた時に行っていた練習
ここまでは、乳酸処理能力を向上するための練習法(クルーズインターバルと閾値走)を紹介してきました。この章では、上記の練習とは別にやっていた練習の中で効果があったと思う練習について、よかったと思うものについて紹介していきます。
- 16000mのペース走
- 5000m * 2
16000mのペース走
16000mのペース走は、(自身の現状の実力のTペース+10秒)/kmで走っていました。閾値走やクルーズインターバルは、日によってはかなりしんどくなってしまい、うまくこなせないこともあると思います(特に閾値走)。16000mのペース走を、ややきついけどまあまあ耐えられるなという速度(自身の現状の実力のTペース+10秒)で2週間に1度程度行ったところ、閾値走やクルーズインターバルの練習の消化率が上がっていきました。いわゆる練習のための練習という位置づけで重要だったと思います。
5000m * 2
5000m * 2はレストを10分程度とっておこなっておりました。ただレストに関しては、もっとがっつりとっても良いと思います。ペースは(自身の現状の実力のTペースー5秒)/kmで行ってました。これは、閾値走というよりは、レペティショントレーニングのイメージとして行っておりました。5000m * 2は、閾値走よりも速いペースでそれなりに長い距離を維持する練習ですが、この練習で、閾値走の練習速度に対する設定ペースの精神的なハードルを下げることが出来たと思っております。
その他の練習まとめ
ハーフマラソンで最も重要な練習は乳酸処理能力です。乳酸処理能力を向上させるための手段として、閾値走やクルーズインターバルがあります。ただ練習を実際に行ってみるとその日の体調や調子によっては、こなせない日があり、安定さをつける必要性が出てくる、安定さをつけるために必要な練習、すなわち練習をこなせるようにするための練習という側面で効果があったという内容でした。
こういう練習が重要という記事はよくみかけるのですが、それは時にして、目標タイムがすでに出せるだろうと思われるような練習内容だったり、なかなか精神的に難しい練習だったりするので、練習の困難さをもう少し分解して段階的に不足要素を補いながら走力アップをすることをお勧めします。
今回の記事は以上になります。最後までお読みいただきありがとうございました。
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