こんにちは。みなさんジョグは行っておりますでしょうか?ジョグって結構難しいと思いませんか?ゆっくり走ればそれはジョグだと思いますが、どのくらいのペースでどの程度の距離を行うのがいいのか?なかなか悩ましいところだと思います。
本記事では初心者から上級者まで行うジョグについてリディアードの理論、ダニエルの理論に基づいて解説していきたいと思います。
ジョグの効果を高める必要性
私はジョグの効果を最大化することが、陸上長距離走で最も効果的に速くなるコツだと思っております。その理由は、初心者からトップアスリートまでほとんどの練習は、ジョグで組まれているからです。ポイント練習を週に1~2回、ジョグを週に3~4回行うようなオーソドックスな練習の組み方を例にあげれば、全体の練習の60~80%がジョグとなるでしょう。練習時間で換算すればもう少し上昇するかもしれません。それくらいほとんどのランナーがジョグに時間を費やしています。
ジョグの目的
ではジョグの目的について考えていきましょう。ジョグの目的はいくつかあると思いますが、疲労抜きという観点はここでは取り扱わず、あくまでも走力を上げるという観点で、体にどういった生理学的な変化を求めて行うのか?という観点で解説させていただきます。ジョグの目的は、主に以下2つとなります。
- 毛細血管の新生
- 心筋の強化
効果①-毛細血管の新生
長時間ランニングを行うと、動かした筋肉群の中に新しい毛細血管がつくられ、より効率的に酸素を体内に循環させることが出来ます。
効果②-心筋の強化
長時間ランニングを行うと、心臓の筋肉が発達し、1回あたりに体内に送り込むことのできる血液量が増加します。1回あたりに体内に送り込むことのできる血液量が増加すれば、安静時の心拍数は下がっていきます。かつて高橋尚子選手の安静時の心拍数が30代だったことを考えると、相当な心筋だったのでしょう。
効果を最大化するためのジョグ
ここまでの説明で、ジョグの目的が、毛細血管の新生と心筋の強化の2つであることがわかりました。それでは、2つの目的を果たすために必要な適正ペースと時間についてみていきましょう。
適正ペース
ダニエルによれば最大心拍数の60%前後が目安となります。最大心拍数は、年齢やトレーニング背景によって異なりますが、120~140程度を目安にすればよいかと思います。一方リディアードは,
最高安定状態の70%~100%(VO2maxの63%~90%)としております。VO2maxについては過去記事「【インターバル】最大酸素摂取量(VO2max)を効果的に鍛える”インターバル”」でも詳細に解説しているのでこちらを参照ください。
これはマラソンペースよりややおそい~閾値ペースラインになります。自身の閾値ペースやマラソンの適正ペースを調べるためには、Vdot Running Calculatorというアプリを使うと簡単に調べることが出来ます。とても便利なアプリですので、ランナーの方は、積極的な活用をお勧めいたします。
適切な時間
ダニエルズフォーミュラやリディアードの著書「ランニング・バイブル」では、2時間程度が推奨されております。リディアードの著書ランニング・バイブルの中では、コロン大学の研究で、2時間以上筋肉群を動かし続けると、血流による圧力でそれまで使われていなかった毛細血管が開かれると同時に、新しい毛細血管網が出来てくると記載されております。前述したマラソンペースよりややおそい~閾値ペースラインでは、さすがに2時間はしることは不可能なので、マラソンよりやや遅いペースくらいの速度で2時間程度走ると効果が最大できると考えられます。
ジョグの走力向上以外の効果
こちらの章では、直接的な走力向上以外の効果を筆者の体験ベースで解説(紹介?(笑))させていただきます。大きく2つ感じる効果があります。
- 高強度の練習がこなせるようになる
- 日常生活における疲労回復力が上がる
走力以外の効果①-高強度の練習がこなせるようになる
5000mの試合などに久しぶりに出ると、レースでのペースが非常に速く感じて昔は、1000mx5などに代表されるインターバル系のスピード練習が足りなかったなというような振り返りになっていましたが、最近は少し考えが変わってきております。レースで走るためのスピード練習が足りないというよりは、スピード練習をこなせるようになる、あるいはスピード練習の効果を上げるための準備期間が足りないのではないかと感じられます。休日やや早めのジョグを取り入れるようになってから3か月程度たったころからスピード練習をしたときにほとんど外さなくなったきた実感があります。
走力以外の効果②-日常生活における疲労回復力が上がる
これ結構大きい効果だと思います。筆者のランニング仲間に3週連続で大会(フル、フル、ハーフ)に出た猛者がおりますが、普通だと疲労がでかすぎて、調子を崩しかねない行為だとおもいます。ただその方は、ベストマイナス1分程度でフルを2回走り、ハーフはベストを出すという驚異的なパフォーマンスを見せております。この方の練習は、とにかくペース走やジョグなどの有酸素系の練習が多いです。有酸素系のシステムが発達してくると次の練習までの疲労を速く回復する効果があるのだと思います。筆者自身も彼ほどではないですが、ジョグの走行距離を伸ばしてからは、疲労回復力が向上した実感があります。
参考文献
本記事は以上になります。今回紹介させていただいた2つの内容は以下の書籍に基づいております。これからもお互い頑張りましょう。
・「リディアードのランニング・バイブル」
・「ダニエルズのランニング・フォーミュラ」
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